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パン屋開業の原価管理|価格を決める前にやること【値付けの順番】

2026年6月20日 ・ 現役のパン屋が書いています

開業準備というと、内装・什器・メニュー作りに目が行きがちです。でも、価格を決める前にやっておくべきことがあります。 それが原価の足場づくり。ここを飛ばして売価を先に決めると、あとから原価が合わず、利益が出ない店になりかねません。 この記事では、開業時の正しい「値付けの順番」を整理します。

なぜ「売価が先」だと危ないのか

「近所のパン屋がこのくらいだから」「キリのいい180円で」——気持ちは分かりますが、売価を先に決めて原価を後から合わせると、 たいてい原価が想定をオーバーします。すると、安く売りすぎた商品を後から値上げするハメになり、開業直後のお客様の信頼を損ねます。

順番が逆だと起きること 売価先行 → 原価が後追い → 想定オーバー → 値上げor赤字。 開業前に原価の足場を作っておけば、最初から無理のない価格でスタートできます。

正しい順番:原価 → 売価の4ステップ

① 材料の単価(円/g)を固める

すべての出発点は、使う材料の1gあたりの単価です。仕入れる小麦・バター・砂糖などを、容量と価格から円/gに直しておく。 ここが土台なので、開業前にひと通り登録しておくと後がラクです。

② 商品ごとの「粗原価」を出す

次に、レシピをもとに商品1個あたりの材料原価を計算します。このとき仕込み品(カスタード等)の歩留まりや包材まで入れるのがポイント。 ここを省くと原価を低く見積もってしまいます(詳しくは パンの原価率の計算方法へ)。

③ ロスと諸経費を「乗せる」

ここが開業者の見落としがちな肝です。パン屋には必ず廃棄ロスが出ます。売れ残り・焼き損じのコストは売れた商品が負担するので、 商品の粗原価率に実際は +3〜5ポイント、もしくはそれ以上が上乗せされて着地します。

開業前に知っておく 「食材原価率30〜35%が健全」というのは最終的な会計(店全体)の数字。 ロスが必ず乗るぶん、商品単位の材料原価率はそれより低めに抑えておく必要があります。1個の粗原価が32%なら、ロス込みでは軽く35%を超えてくるからです。

④ 売価を決める

①〜③を踏まえて、はじめて売価を決めます。「原価×3」はあくまで出発点の目安で、商品ごとに調整が要ります。 材料の安い食パンと、原価率の高い惣菜パン——これらを組み合わせて、店全体で目標に着地させるのが現実の値付けです。

開業時にやりがちな値付けの間違い

やりがちなぜまずいか
周りの相場だけで決める自店の原価構造と違う。赤字商品に気づけない
ロスを見込まない実質原価が+3〜5pt以上上がり、利益が消える
仕込み品・包材を原価に入れない原価を低く見積もり、売価が安すぎる
家賃・人件費を原価率に混ぜる原価率(材料)と固定費は別管理。混ぜると判断を誤る
1商品の原価率だけで一喜一憂稼ぐ商品と削られる商品の組み合わせで見る

開業後、仕入れ値はすぐ動く

もうひとつ。開業して終わりではありません。小麦やバターの仕入れ値は開業後すぐにでも動きます。 そのたびに材料単価が変わり、それを使う全商品の原価率がずれていく。だからこそ、原価は一度作って終わりの紙ではなく、更新し続けられる形で持っておくのが理想です。

開業前から、原価の台帳をデジタルで

ベーカリーノートプロは、材料の単価を入れておくだけで、仕込み品・歩留まり・包材まで含めた商品ごとの原価率を自動計算。仕入れ値が変われば全商品が一気に更新されます。開業準備の段階から使えて、無料で始められます。

まとめ