開業・機材編

パン屋のオーブンの選び方|電気とガス・デッキとコンベクションの違い

2026年6月24日 ・ 現役のパン屋が書いています

オーブンは、パン屋にとって最も重要な機材。そして一番大きな買い物です。 電気かガスかデッキかコンベクションか、大きさは、価格は——そして買ってから泣く人が多い「天板サイズ」の落とし穴まで、現場の実感で整理します。

電気オーブンとガスオーブン(9割は電気)

オーブンはまず、熱源で電気ガスに分かれます。今は9割が電気オーブンです。

電気オーブン(約9割)ガスオーブン
電源・燃料200V都市ガス/プロパン
設置比較的簡単やや手間
焼きムラ少ない大きめ
スチーム使える相性が悪い
朝のタイマーできるできない(数日使わないと着火しないことも)
焼き上がり安定して焼けるしっとり焼けると言われる(水蒸気が出るため)
ランニングコスト都市ガスなら安い可能性/プロパンは高い
安全性火が無く高い火がついている

電気はタイマーで朝から自動立ち上げ・スチーム対応・焼きムラが少ないと、扱いやすさが揃っています。 ガスは都市ガスならランニングコストで有利な場合があり、しっとり焼けるとも言われますが、焼きムラやタイマー非対応など扱いの難しさもあります。石窯系はガスが主です。

デッキとコンベクション、何が違う?

もう一つの分かれ道が、デッキコンベクションか(どちらも電気があります)。

デッキオーブンコンベクションオーブン
焼き方石板(菓子用は鉄板)の蓄熱・高火力熱風(ファン)で焼く
パン向き本命。パン屋といえばこれ力不足な場面が多く、乾燥しやすい
得意しっかり火を入れる食事パンなどパリッ・サクッと焼きたい商品
予熱蓄熱が要る予熱なしで焼ける
焼き色付きやすい火力が弱く付きにくい

デッキは石板にためた熱でしっかり焼き上げるパン屋の本命。コンベクションは予熱いらずで手軽な反面、蓄熱が無いぶんパンには力不足になりがちで、熱風で乾燥しやすいのが弱点です。 ただしパリッと軽く焼きたい商品には向くので、デッキを主役に、必要ならコンベクションを補助でという考え方になります。

大きさは「日商」で決める

オーブンの大きさは、目指す日商(1日の売上)から逆算するのが現実的です。

目安の日商デッキオーブンの大きさ
日商 5万円程度6枚取り天板 4枚 × 2段で十分
日商 10万円を目指すなら4枚 × 3段が欲しい

コンベクションで揃える場合は、5枚差しを2〜3台は最低限みておく必要があります(1台では足りません)。

結論:1台目は「電気デッキ 4枚2段」から

迷ったらこれ 小規模なパン屋の1台目は、電気のデッキオーブン「4枚2段」(日商5万円程度を想定)がおすすめです。 もっと上を目指すなら4枚3段。もちろん、想定する売上規模によって調整してください。

価格の目安(中古・新品)

種類中古新品
デッキ(電気)100万円〜200万円〜
デッキ(ガス)150万円〜250万円〜
コンベクション50万円 ×2台〜80万円 ×3台〜

※サイズ・メーカー・状態で大きく変わる目安です。コンベクションは複数台前提なので、合計額は意外とかさみます。

買う前の最重要ポイント:「天板サイズ」を甘く見ない

オーブン選びで一番ハマるのが天板サイズです。ここを軽く見ると、後で本当にえらい目にあいます。

機材は天板サイズで「全部そろえる」 もっとも大事なのは、オーブン・ドゥコンディショナー・リターダー・ラックを、すべて同じ天板サイズで揃えること。 ここがバラバラだと、天板を機材間で使い回せず、現場が回らなくなります。できれば同一規格・同一メーカーで統一しましょう。中古で少しずつ買い足すときも、ここだけは妥協しないのが鉄則です。

このほか、電気なら200Vであること、重量物なので搬入・設置は専門業者に頼むこと、ガスや一部機種は排気の取り回しも確認しておきましょう。

オーブンは100万円超の投資。回収は「原価」次第

オーブンは中古でも100万円から。この大きな投資を回収できるかどうかは、結局1個ずつの原価と利益にかかっています。薄利多売のパン屋ほど、原価管理が効いてきます。ベーカリーノートプロは、その原価計算をまるごと引き受けます。

まとめ