開業・機材編

パン屋のミキサーの選び方|縦型とスパイラルの違い・大きさ・価格

2026年6月20日 ・ 現役のパン屋が書いています

ミキサーは、パン屋の心臓ともいえる機材。そして高い買い物です。 「縦型とスパイラル、どっち?」「大きさは?」「中古でいくら?」——開業準備でつまずきやすいミキサー選びを、 現場の実感で整理します。価格・電源・搬入の注意点まで、買う前に知っておきたいことをまとめました。

縦型ミキサーとスパイラルミキサー、何が違う?

パン屋で使うミキサーは、大きく縦型(ミキサー)スパイラルミキサーの2種類です。

縦型ミキサースパイラルミキサー
タイプ汎用(ボウル・アタッチメント交換可)捏ね専用(交換不可)
用途パン生地のほか、クリーム・メレンゲなど幅広くパン生地に特化
捏ね羽根(フック)で捏ねるボウルも回転。生地温が上がりにくく短時間で効率的
音・振動生地を回して叩くので大きめ静かで振動も少ない
耐久性二重構造でやや負担がかかりやすい構造が単純で壊れにくい
価格やや高いやや安い

ざっくり言えば、縦型は"なんでも屋"、スパイラルは"捏ねの専門家"。 スパイラルはボウルごと回って生地を効率よく捏ね、生地温が上がりにくいのが大きな強みです。一方の縦型は、アタッチメントを替えればクリームやメレンゲもこなせる汎用性が魅力です。

大きさの選び方:パン屋は「60コート」が基準

ミキサーの大きさは「コート」という単位で表します(業務用ミキサーの容量の単位)。パン屋なら、縦型は60コートがおすすめです。

大きさ回せる粉量の目安向き
60コート8〜10kgパン屋の主力。これが基準
30コート上限 3kgほど(無理すれば5kgだが非推奨)お菓子系・少量向け
よくある使い分け お菓子系は30コート、パンは60コートでボウルを替えながら使うのが一般的です。 パンをしっかり作るなら、30コートでは小さすぎる場面が必ず出てきます。

スパイラルミキサーの場合は、サイズ50くらいがおすすめ。20や30だと小さめで、すぐ物足りなくなります。

結局、どっちを買えばいい?

パンしか作らない硬派なお店ならスパイラルでもいいでしょう。捏ねに特化したぶん、生地への優しさと効率は魅力です。

ただ、1台目に選ぶなら縦型がおすすめです。理由はシンプルで、いろいろな用途に使えるから。 クリームやメレンゲも作れるので、菓子パンやケーキにも手を広げやすく、潰しが効きます。 さらに、縦型にはスパイラルフックというオプションのアタッチメントがあり、これを付ければスパイラルミキサーに遜色のない生地を作ることも可能。汎用性を保ったまま、捏ねの弱点も補えます。

理想と現実 予算があれば、縦型とスパイラルを1台ずつ持つのが理想です。ただし、個人の小さな店で2台持ちは過剰設備になりがち。 まずは縦型1台から、が現実的な落としどころです。

耐久性で見ると、スパイラルが上

ここまで縦型を勧めてきましたが、耐久性ではスパイラルミキサーが上です。理由は構造の単純さ。 スパイラルはアタッチメントの付け替えがなく、ボウル自体が回るので、捏ねるフックはただ回るだけ。シンプルなぶん壊れにくいのです。

一方の縦型は、ボウル全体がまんべんなく混ざるよう、羽根が自転しながら公転する二重構造で動きます。複雑なぶん、スパイラルよりは負担がかかりやすい。 とはいえ、どちらもちょっとやそっとでは壊れません。過度に心配する必要はありませんが、長く酷使する前提なら頭の片隅に置いておくとよいポイントです。

価格の目安(中古・新品)

ミキサーは中古市場も活発です。スパイラルのほうが、専用機でアタッチメントが無いぶん少し安い傾向です。

種類中古新品
スパイラルミキサー40万円〜80万円〜
縦型ミキサー50万円〜120万円〜

※サイズ・メーカー・状態で大きく変わる目安です。

「リース」という選択肢も まとまった初期費用を抑えたいなら、リースも手です。毎月の支払いに分けられるので開業時の現金を温存でき、支払いを経費として処理できるため会計処理もシンプルになります。 ただし総額は購入より割高になりやすいので、手元資金とのバランスで判断を(税務の扱いは税理士に確認を)。

買う前に必ず確認したいこと

ミキサーは高額で、しかも簡単に買い替えられません。次の点は、買う前に必ずチェックしてください。

機材は大きな投資。回収できるかは「原価」次第

ミキサー1台で数十万〜100万円超。この投資を回収できるかどうかは、結局1個ずつの原価と利益にかかっています。薄利多売のパン屋ほど、原価管理が効いてきます。ベーカリーノートプロは、その原価計算をまるごと引き受けます。

まとめ